企業は人なり

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コラム
会社の経営と社員のやる気 〜企業は人なり〜


 会社の社長様、次のような事でジレンマに陥ってはおりませんか?

1)専門家に経営分析や経営指導をしてもらっているが、思ったほど効果がない

2)毎週、営業会議をして、社長が社員に方針を示し、ノルマを与えても
  なかなか業績が上がらない

3)会議で社員が積極的に自分の意見を言わないので、なんともものたりない

4)有能な社員には辞められ、役に立たない社員ばかりが居座っている

5)自分はなぜこんなボンクラな社員ばかりを使わなければならないのだろう
  業績が上がらないのは無能な社員のせいである

 専門家に経営分析をしてもらい、それに基づき経営指導を受けることは、良い事だと思います。しかし、それによって業績が上がってゆくのであれば何の問題もないのですが、一般的には、それだけではなかなかうまくいかないのが実情です。

 なぜ、経営分析や経営指導だけでは、業績が向上しないのでしょうか?

 それは、社長にとってその分析結果は目新しいものではなく、そのほとんどがすでにわかっている事で、「やはりそうであったか」と納得いく事ばかりではあるが、どうすればいったいその数値が改善するのかという、一番重要な部分が解決しない為ではないでしょうか。


「業績向上に一番大切な事は何か?」

 それは 社員を本気にさせる事 だと思います。

 数ある企業のうち、社員を本気にさせて、その社員の能力を引き出している企業がどのくらいあるでしょうか?私は、それほど多くはないと思っています。 逆に、自分の能力を充分に発揮できずに、会社(社長)に対して不満を持っている社員を抱えている企業がはるかに多いのではないでしょうか。

 つまり、多数の企業が、本気でない社員を抱えて戦っているのです。それではなかなか業績が上がらないのも仕方がないことです。

 もともと無気力な社員を採用したのだろうか。本当にダメな社員ばかりなのだろうか。という疑問を持った事がありますか?

 社員の能力は最初から個人差があります。これは疑いようのない事実です。1を言って2わかる人もいれば、3わかる人、10わかる人もいます。また、動きの速い人、鈍い人、知識はあるが行動の遅い人、速い人と、個人差はもともとあります。

 しかし、知識もあり、飲み込みが速く、行動力がある人でも、やる気が失せた時には、結果的には能力が半減します。その逆に、それらが劣る人でも、気力が充実した時には、前者を超えるような力を発揮する場合もあります。

 私が言いたいのは、業績が向上しないのは社員の能力の有無ではなく、社員を本気にできない社長の側に問題があるという事です。


 私の顧問先で成功した例をお話しましょう。

 繊維関係の卸売業の会社で、社長も含め10人程度で、年商はおおよそ5億円のA社の例をあげてみます。

 繊維業界は、バブル崩壊後、ユニクロ等の安売りの影響を受けた、不況産業のうちのひとつでした。A社も例外でなく、6年前までは人数はほぼ同数で、年商は4億円、賞与も涙金程度しか出せず、毎年赤字決算でした。このままでは会社の存続が危険な状態でした。

 以前から私は社長に、社員に能力がないわけではない、社員を本気にさせろとアドバイスをしてきたのですが、なかなか耳を傾けてもらえず、私の方も打つ手がありませんでした。

 ところが、ある日、社長から私宛に電話があり、試しに私のいう"社員を本気にさせる"という方法をやってみたいというのです。今までの自分を見つめ直し、自分を変えていきたいという気になったというのです。

 それから社長は私利私欲から離れ、社員のトップと本音で会話をするようになりました。最初のうちは、社員は疑心暗鬼でしたが、次第に社長の変化が本物であると気付いて来たようでした。

 その年度は、決算上、大した変化はありませんでした。ところが、次年度は変化が見られました。売り上げが3,000万円アップ、粗利が1.2%アップ、社員の待遇もアップさせましたが、赤字は解消され、200万円の利益決算となりました。

 3事業年度目からは、毎年黒字が続き、その後は1,500万円〜2,000万円の利益決算となっています。特筆すべきは、売り上げアップだけでなく、以前と比べて、粗利が4%以上もアップしたという事です。

 社員の退社時刻も、以前までは9時過ぎであったのが、現在では6時になったとの事です。

 なぜこういう現象が起きたのでしょうか。

 勤務時間が短くなったのに、業績がアップしたなんて信じられない話だと思われる方がいるかも知れません。社員のトップの人は以前は社長に失望し、真剣に転職を考えていたという事でした。ところが、社長の考えに変化が起き、これが本物かも知れないと思い、ラストチャンスに賭けてみようと思ったというのです。それからは自ら進んで部下に社長の変化を話し、自分達のためにも会社の建て直しが急務である事を訴えたそうです。

 社長が変わった為に、社員が本気になったのです。こうなると無駄な動きがなくなります。社員は売上げ増だけでなく、利益(粗利)増を、自ら進んで考えるようになります。社長は会議をやる必要もなくなり、社員の動きを見ているだけで良くなったそうです。

 労働時間も9時まで会社にいたのでは、帰宅は10時過ぎ、寝るのは翌日になってしまいます。これではいくら若者でも疲れきってしまいます。兵に休息を与えなければ、戦には勝てません。集中力はそんなに長くは持続できないものです。6時に退社すれば、帰宅は7時前後で、充分その日の疲れをとることができます。翌日は朝から集中して仕事ができるようになる為、1日の仕事は早めに終わるようになります。勤務時間が短くても中身が濃いものとなっているのです。社員も1日だらだら仕事をしているよりも、仕事は6時で終わるのだと思って朝から取り組む方が、効率良く働けるのです。

 このように好循環になってゆき、業績も上がるようになるのです。

 こうなれば、社長は黙って見ているだけで、社員が社員を教育するようになり、やる気のない者は、会社には居づらくなります。1人の社員が本気になっただけで、こういう現象が生ずる事があるのです。

 逆のケースでは、会社に必要な人から先に辞められてしまい、役に立たない人だけが残るようになります。やる気のある有能な人は他へ行っても通用します。見込みのない社長の下に居るより、その方がずっとましだからです。

 以上、長々と述べて来ましたが、どうすれば社員を本気にできるかどうがカギだと思います。

 正に "企業は人なり" です。

 貴社の社員を本気にさせるにはどうしたら良いか、具体的にお役に立てたら幸いです。

税理士 滝口武男


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